美の追求

の装飾インテリアブランド、L'Objetの創設者がおすすめの詰まったアドレス帳を開く
イラッド・イフラックの素晴らしいデザインは、自身の旅や地中海への愛着から生まれています。写真提供:ジェイソン・ロジャーズ
イラッド・イフラック
L'Objet創設者

世界各国を旅するイスラエル生まれのラグジュアリーライフスタイルデザイナー、イフラックは、なんとビバリーヒルズで自身のキャリアをスタートさせ、インテリアデザイナーとして成功を収めました。彼の任務は、クライアントの家をさりげなく美しい、機能的な空間に変えることでした。イフラックはクライアントのために芸術的なオブジェを探していましたが、なかなか良いものが見つかりませんでした。

「美の追求」のため、イフラックは2004年にガレージの実験的なスタジオでL'Objetを創設し、高級な室内装飾品のデザインと製作を開始しました。

イラッド・イフラックは自身の手作り作品すべてを通して純粋さとエレガンスを伝えるよう努めています。
室内装飾コレクション
国際的なエンターテイナーのために

デザイナー、イフラックの最初の試作品はすぐにバーグドルフ グッドマンに採用され、それを機にイフラックは荷物をまとめ、より大きなビジネスチャンスを求めてニューヨークへ移住しました。ほどなくL’Objetは、美しいフォルムと機能性を兼ね備えたラグジュアリーなハウスウェアブランドとして、ロイヤルティの高い顧客基盤を築きあげました。L'Objetの個性溢れるコレクションは幅広くどれも高級感があり、マラカイトのデザート皿や、金とサンゴのレターオープナー、ラピスラズリの花瓶、香り高いアロマキャンドルなど、エレガントな素材で精巧に作られています。

考え抜かれたデザインと完璧な職人の技巧は、創設者イラッド・イフラックが生み出したL'Objetの美学の象徴です。
作品に隠されたストーリー
旅で得たインスピレーション

イフラックのコレクションはいずれも、世界を巡る旅(同氏は1年の半分以上、各地を飛び回っています)や、ルーツである地中海、北アフリカ、フランス、中東の職人の伝統技法などからインスピレーションを得ています。現代マヤのデザインにインスピレーションを得たイフラックは、自身のトゥルム コレクションのためメキシコへ赴き、そこで出会った未加工の土器に魅了され、デザインに取り入れました。パルファン ドゥ ボヤージュのキャンドルシリーズは、旅先のモロッコで流行していた薔薇や皮革、琥珀やオレンジの花の香りに影響を受け生まれたものです。マムーニア キャンドル No.28の香りを感じるたびに、彼はモロッコにいる祖父のリビングルームで寛いでいるかのような気分になるそうです。

地元のおすすめ情報

デザイナー、イラッド・イフラックが案内するニューヨーク

新たな目的地への旅や発見こそが、イラッド・イフラックの国際的なデザイン美学を突き動かしています。彼は地球市民として、様々な国や文化で発見した多様な美を研究、収集、そして称賛しています。しかしイフラックは自宅で過ごすときも同様に、美の追求と芸術に満ちた体験を大切にしています。イフラックがザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールドのために、自身のおすすめが詰まったアドレス帳を開きここにご紹介します。

宝探し

チェルシーでビンテージ物を手に入れる

イフラックがより身近な場所でデザインのインスピレーションを求めるときは、聖サワ大聖堂の隣にあるチェルシー フリーマーケット(39 W. 25th St.、+1 212 243 5343))へ出向き、100年前の印刷機や魅惑的なアールデコ調のジュエリー、ビンテージ物の洋服、中世の家具など、世界のお宝やアンティーク品を物色して土日を過ごします。通りの向こうにあるショープレイス アンティーク アンド デザインセンター(40 W. 25th St.、+1 212 633 6063)は、さらにビンテージ物やアンティークの宝を探すには格好のお店です。修復されたムラーノガラスのランプから金の蒔絵が施された仏教寺院の花まであらゆるものが揃っており、ビルの4フロア全体で250のギャラリーが入っています。

アートマーケット

20世紀最高のアーティストの作品を巡る

チェルシーの中心部にあるジム・ケンプナー ファイン アート ギャラリー(501 W. 23rd St,、+1 212 206 6872)では、まず建物自体を鑑賞しその独創的な建築デザインを堪能しましょう。中に入れば素晴らしい現代作品の数々にきっと夢中になることでしょう。ガラスと鋼鉄でできた3階建ての建物は、建築家フィリップ・スミスとダグラス・トンプソンが設計したモダニズムの夢のような情景です。リバーサイド ドライブにあるニューヨーク仏教教会や、アッパーイーストサイドにあるエピファニー教会も両氏が手がけた名作。イフラックのおすすめは、まずギャラリー屋外の彫刻の庭から回り、その後20世紀、21世紀の著名なアーティスト、チャック・クローズ、ヘレン・フランケンサーラー、ジャスパー・ジョーンズ、デボラ・カス、ジェフ・クーンズなどの様々な作品(絵画、彫刻、写真、版画)を鑑賞することです。

アートとデザイン

ミュージアムマイルおよび周辺を巡る

ニューヨーク近代美術館(11 W. 53rd St.)は必ず訪れたい場所で、すでに行ったことのある方も多いことでしょう。フリックコレクション(1 E. 70th St.、+1 212 288 0700)はスケールにこそ差があるとはいえ、やはり印象的な美術館です。以前は実業家、ヘンリー・クレイ・フリックの私宅であったこの美術館は、廊下、ギャラリー、中庭、ダイニングルームに18世紀の家具や東洋の敷物、ゴヤやレンブラント、フェルメール、ホイッスラーなど著名な画家の作品原画が飾られています。

デザインの歴史を深く学ぶならクーパーヒューイット スミソニアン デザインミュージアム(2 E. 91st St.、+1 212 849 8400)へ。世界中から新旧のデザインを収集し、保管、展示している米国唯一のデザイン博物館です。多様性に富む展示作品には、エイブラハム・リンカーンの懐中時計から1960年代のサイケデリックなポスターまであらゆるものが含まれています。

ディナーとともに楽しむアンティーク

食事メニューを眺めながら家具も買えるレストラン

記憶に残る食事体験とそれに調和した雰囲気を味わうなら、ソーホーのアンティーク ガレージ(41 Mercer St.、+1 212 219 1019)がおすすめです。自動車修理工場だった建物を引き継いだシェフ、ウトゥク・シネルが薄汚れた工場を改装し、ニューヨークの穴場ダイニングの1つとして生まれ変わりました。現在の店舗は、工場の気取らない雰囲気は残したまま、アンティークのインテリアを散りばめたロマンティックな空間。木の天井からはきらきら光るシャンデリアが吊るされ、赤レンガの壁には金色のヴィクトリア朝様式の彫像が掛けられています。店内の装飾品はすべて商品として販売されています。
暖かい季節にはレストランのガレージのドアが開放され、歩道にテーブルが並べられます。ここではジャズの生演奏をバックに、新鮮なタコのグリルや風味豊かなタラモサラダなど地中海風の軽食が楽しめます。即興演奏が始まると、通りにはチェロやトランペットの生音が響き渡ります。

従来とは一線を画すレストラン

地中海と南アフリカが融合するダウンタウン

居心地の良いグリニッジ ヴィレッジのレストラン「ジャックス ワイフ フリーダ(50 Carmine St.、+1 646 669 9888)でのディナーの際には、イフラックの姿を見かけるかもしれません。好評の、新鮮で彩り豊かな地中海風料理をお楽しみください。特にハンバーガーの味は市内でも指折り。ボリューム満点の野菜カレーも満足のいく1品です。ふっくらと炊き上げたクスクスと、スパイシーな自家製チャツネ(果物の漬物)が添えられています。ブランチでは、イスラエルや南アフリカをルーツにした四季折々のメニューが目を引きます。ビートのオランデーズソースをかけた明るいピンク色のエッグベネディクト、7色の人参サラダ、爽やかなメロンジュースなど、万華鏡のようにカラフルな料理の数々を堪能できます。

写真提供:ジャックズ ワイフ フレダ